日本気象学会台風研究連絡会のホームページ
台風研究連絡会設立の趣旨
台風は気象学上もっとも激しい擾乱のひとつであり、台風研究に対する社会的な要請も大きい。しかしながら、台風にはMadden-Julian振動やモンスーン循環といった惑星規模現象から数kmの雲対流活動やスケールの小さい渦混合過程に至るまでマルチスケールの現象が複雑に絡み合っているうえ、渦力学に関する基礎研究・観測手法・現業予報などの幅広い分野に研究課題が存在している。そのため、個別の研究者・学生が独力で全体像をつかむことは容易ではない。
本研究連絡会では、さまざまな分野の専門家が連携し、深い理解に基づいた多面的な台風像を作り上げることが重要であるという認識のもと、第一線で活躍する研究者による講演会などの機会を設ける。そして、「これまでに何が理解され、いま何が理解されていないのか、もしくは理解することが求められているのか?それらの理解のためにはどうすればよいのか?」を、参加者が納得いくまで徹底的に議論する。また、本連絡会の活動が、日本における台風研究のレベルアップにとどまらず、新たなテーマの発掘へと波及するよう、密な研究連携を積極的に推進する。
台風について学ぶ
台風セミナー
台風セミナーは、台風研究において「これまでに何が理解され、いま何が理解されていないのか、もしくは理解することが求められているのか?それらの理解のためにはどうすればよいのか?」を徹底的に議論する試みです。参加者同士の深い議論を通じ、日本における台風研究者をレベルアップし、新たな研究テーマを発掘することを目指しています。本ページでは公開可能な全ての講演資料を紹介しています。また、以下の所属は講演当時のものです。
2024年度は,2024/12/3-4にマイアミ大のDavid Nolan教授と慶応大の宮本佳明准教授を講演者として招待しました.David Nolan教授には渦力学について,宮本准教授には多重壁雲の形成に関わる新しい理論についてお話しいただきました.
David S. Nolan氏(University of Miami)
Vortex dynamics
(講義資料、動画は参加者にのみ公開)
宮本佳明氏(慶応義塾大学)
台風の多重壁雲構造について
(講義資料、動画は参加者にのみ公開)
2023年度は,2024/03/18-19に柳瀬亘氏とRobert Hart氏を講演者として招待し,京都大学防災研究所にて講演していただきました.
柳瀬亘氏(気象研)
温帯低気圧化入門[講演資料]
Robert Hart氏(フロリダ州立大学)
TC Research Presentation Part 1[講演資料]
TC Research Presentation Part 2[講演資料]
2022年度は,2023/03/15-16にGFDLの村上裕之氏を講演者として招待し,熱帯低気圧の気候学や将来変化予測について名古屋大学(現地)+オンラインで講演していただきました.
村上裕之氏(GFDL)
Review for tropical cyclone climate [講演資料]
Projected future changes in tropical cyclones - Recent studies - [講演資料]
2021年度は,2022/03/24-25に香港城市大のJohnny Chan氏を講演者として招待し,台風の進路に関する基礎や進路予報誤差についてオンラインで講演していただきました.
Johnny Chan氏(City University of Hong Kong)
Fundamental concepts of tropical cyclone motion [講演資料]
Applications of the tropical cyclone motion concepts I [講演資料]
Applications of the tropical cyclone motion concepts II [講演資料]
Tropical cyclone forecast errors [講演資料]
[講演時に出てきた文献のリスト]
2020年度は,2020/09/07-08にオンラインにて気象大学校の伊藤享洋氏と気象庁数値予報課の西本秀祐氏を講演者として招待し,渦ロスビー波の解析解について講義して頂きました.
主催:名古屋大学 宇宙地球環境研究所
伊藤享洋氏(気象大学校)、西本秀祐氏(気象庁数値予報課)
渦Rossby波に関する諸問題への解析解を用いたアプローチ
[講演資料1]
[講演資料2]
[講演資料3]
(講演資料は要パスワード、動画は参加者にのみ公開)
2019年度は,2019/04/15-16に京都大学宇治キャンパスにおいて,Massachusetts Institute of TechnologyのProf. Kerry Emanuelを講演者として招待し,現代台風理論の基礎となるWISHEメカニズムなどについて講義して頂きました.また,伊藤耕介による「軸対称的な台風の物理学」の講義や山田洋平さんによる「台風と地球温暖化(導入編)」も行われました。
主催:名古屋大学 宇宙地球環境研究所
Kerry Emanuel氏(Massachusetts Institute of Technology)
Tropical cyclone steady-state energetics and structure [講演資料]
Tropical cyclone intensification dynamics [講演資料]
Tropical cyclone risk in a changing climate [講演資料]
伊藤耕介氏(琉球大学)
軸対称な台風の物理学 [講演資料]
山田洋平氏(JAMSTEC)
台風と地球温暖化(導入編) [講演資料]
2018年度は,2018/10/26-27にJAMSTEC東京事務所において,Naval Research LaboratoryのDr. Jeffrey D. Hawkinsを講演者として招待し,熱帯低気圧のリモートセンシングの基本概念から熱帯低気圧の強度推定やその精度について、「衛星で見る熱帯低気圧」について幅広く講義して頂きました.また,気象研究所の小山亮さんによる「台風衛星観測入門編」の講義も行われました。
主催:名古屋大学 宇宙地球環境研究所
Jeffrey D. Hawkin氏(Naval Research Laboratory)
Satellite-Based Tropical Cyclone Characterization
(講義資料、動画は参加者にのみ公開)
小山亮氏(気象学研究所)
台風衛星観測入門編
(講義資料、動画は参加者にのみ公開)
2017年度は,2018/3/23-24に名古屋大学において,Naval Research LaboratoryのDr. Daniel Sternを講演者として招待し,台風の内部コアダイナミクスについて講演して頂きました.また,名古屋大学の辻野智紀さんによる「台風物理学入門」の講義も行われました.
共催:名古屋大学宇宙地球環境研究所 ・日本気象学会台風研究連絡会
Daniel Stern氏(Naval Research Laboratory)
The Structure and Dynamics of the Tropical Cyclone Eyewall [講演資料]
The Tropical Cyclone Warm Core [講演資料]
Understanding Extreme Updrafts and Wind Gusts Using Dropsonde Observations and Large-Eddy Simulations [講演資料]
辻野智紀氏(名古屋大学)
台風物理学入門 [講演資料]
2016年度は,2016/8/4-5に名古屋大学において,University of HawaiiのProf. Michael Bellを講演者として招待し,台風の航空機観測について幅広い視点から講演頂きました.
共催:名古屋大学宇宙地球環境研究所 ・日本気象学会台風研究連絡会
Michael Bell氏(University of Hawaii)
Aircraft Observations of Tropical Cyclones: Past, Present, and Future [講演資料]
2015年度は,2016/1/6-7に気象庁本庁において,NCEP/EMCのハリケーンチームリーダーとしてHWRFによる現業台風予報を全海域への拡大に貢献し,全球モデリンググループリーダーとなられたVijay Tallapragada氏を講演者として招待し,台風強度予報とNCEP次世代全球モデルの開発について、研究・現業技術の両面から講演頂きました.
主催:名古屋大学 地球水循環研究センター 地球水循環観測推進室
Vijay Tallapragada氏(NCEP/EMC)
Improved global tropical cyclone forecasts from NOAA: Lessons learned and path forward [講演資料]
Global modeling plans at NCEP [講演資料]
(動画は参加者にのみ公開)
台風の接近に伴い10月初旬の沖縄・瀬底島での開催は中止となりましたが、
杉正人さんのご厚意により12/15-16の二日間に新橋のJAMSTEC東京事務所で開催されました。
主催:台風セミナー実行委員会(中野満寿男・宮本佳明・沢田雅洋・伊藤耕介・吉田龍二)
共催:名古屋大学 地球水循環研究センター 地球水循環観測推進室
杉正人(気象研究所)
台風と地球温暖化
[講演資料1][講演資料2]
伊藤久徳(九州大学)
渦と渦の相互作用-台風研究への/からの刺激- [講演資料]
(動画は参加者にのみ公開)
Jeff Kepert(Centre for Australian Weather and Climate Research)
The Tropical Cyclone Boundary Layer
[講演資料1]
[講演資料2]
[講演資料3]
[講演資料4]
[講演資料5]
[講演資料6]
新野宏(東京大学)
竜巻の構造・力学と発生機構 -その理解の現状と課題-
[講演資料]
(講演資料は要パスワード; 動画は参加者にのみ公開)
Chun-chieh Wu(国立台湾大学)
Targeted Observation for Tropical Cyclones [講演資料]
Dynamics of the Concentric Eyewall Formation [講演資料]
(動画は参加者にのみ公開)
山田広幸(琉球大学)
熱帯における台風の発生と進路に関する観測と数値実験
[講演資料1]
[講演資料2]
(動画は参加者にのみ公開)
山岬正紀(海洋研究開発機構)
メカニズムと数値モデル
[講演資料1]
[講演資料2]
[講演資料3]
上野充(気象研究所)
環境風の鉛直シアーと台風の非対称構造や移動との関係について
[講演資料1:環境風の鉛直シアーと台風の非対称構造や移動との関係に関して]
[講演資料2:降水非対称]
[講演資料3:渦軸傾斜]
[講演資料4:地上風非対称]
筆保弘徳(横浜国立大)
台風はなぜ軸対称構造なのか?~総観スケールとメソスケールをつなぐ台風バランス力学~
[講演資料]
各年度の台風セミナーのホームページでご確認ください。
2015年度